綺桜の舞う
成くんは目元を腕で覆って涙を流した。


「……俺は、まだ。好きです。綺龍が、好きです。
みんなが、好きです。まだ、みんなと笑いたいです、みんなと戦いたいです……蛍さんとも、話足りないです」


「みんなに、全部説明して、ちゃんとごめんなさいできる?」



成くんは唇を噛みしめてから、口を開く。



「……っ、はいっ」



「ん、よし。立って?」
「え、」
「え?今から成くんが私のことを送らなきゃなんないんだから」
「そ、れはきついです。
そう思うならもうちょっと手加減して勝負してください……」
「十分手加減しました〜。
私も成くんのたくさん食らっちゃったし。
あーあ、またあざが増えちゃった」
「まじで無理ですよ、俺この感じで運転できる感じしませんし……俺が運転したら免停ですよ」
「あれ、そっか。免許とってから一年経ってないか。
仕方ないなー私が運転してあげるね。
ちなみに2ケツしてこけた前科が5回あります」
「俺が運転します」
「頼みます」


そして私たちは、急いで倉庫に帰った。
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