綺桜の舞う
ニヤッと笑った男。
グッと足を踏み込んで、俺の腹目掛けて拳が飛ぶ。
俺はそれを見切って、飛び上がるとその拳を踏み台にして男の背後に着地、驚いていまだ振り返れていない男の膝の裏に蹴り。
……ちょっと小賢しい技を繰り出しておく。
バランスを崩した総長に留めの空中跳び膝蹴り。
昔、いろいろやってた時期に1番褒められた技。
……懐かしいな、本当。


「ぐっ……」
「っ、けほっ」


着地した俺は、そのまま床にへたり込む。


「おーっと、湊、無理したねー?」
「みーにゃん、叶奏ちゃんと同じで無理するのだけは得意だからね〜」


ちょうど俺たちのトップ2が姿を現す。


「湊、車呼ぶから安静にしてろ」
「いい、……けほっ、」
「声かすれすぎな。
ただでさえ久々に戦ったろ?何年ぶりよ?
とりあえず病院行ってくれ」


俺は伊織に肩を担がれながら、安全な場所まで引き下がる。
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