綺桜の舞う
「なぁ、俺らがついた時に女の子が1人走り去っていったんだけど、なんか知ってる?」
「知らない」
「そ……了解」


俺は床に投げ出されて、伊織は俺の前に背中を向けて立った。


「お前らー、この辺湊も守れー。こいつこれ以上怪我したら死ぬから気合い入れろよ〜」


とんでもないくらいラフに怪我人を扱う伊織。
早速戦線に降り立つ。


……あぁ、身体、だるい。
久々に変なトリッキーな技を出してしまったから体が悲鳴を上げている。
明日は筋肉痛だ。


今日はダメな日だ。体の調子が悪い日だった。
そりゃ、ガタが来るか。


「……しんど」


向こうの総長も倒れて、抗争は当たり前に俺たちの勝利で終わった。
その後すぐに成に抱きついてやってきたのは叶奏。
予想通り連れ戻したらしい。


「はい、成くんも処理手伝おうね」
「は、い」


痛そうに脇腹を抑えるのは叶奏にやられたのか。
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