My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
「……」
その夜。私はハンモックの上で何度目かの寝返りを打った。
昨日は日が暮れてすぐにやってきた眠気が今日はなかなかやって来ない。低い波音と船体の軋む音がやたらと耳についた。
ブゥがそんな私をハンモックの端っこからじっと見守ってくれている。だから不安はそんなにない。
すぐ隣のベッドではすでにアヴェイラが静かに寝息を立てていた。
(想って、想われて……)
彼女のその言葉が朝からずっと引っかかって離れない。眠れない原因はそれだった。
――この世界に来てからずっと傍にいて、いつも守ってくれるラグ。
彼がいなかったら、私はとっくにこのレヴールのどこかで命を落としていただろう。