My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
12.白昼夢
「カノン、うちの奴らの前で一度歌ってみちゃくれないか」
「え?」
この船に乗って3日目のこと。船長室に戻ってきたアヴェイラにいきなり手を合わせられ私は目を瞬いた。
扉を指さし彼女が溜息交じりに続ける。
「あまりにも煩いんで、だったら一度ちゃんと聴いてみろって言っちまってねぇ」
「で、でも、」
海賊たちは皆、私のことを警戒していたはずだ。煩いというのも頭である彼女を心配してのことだろう。
歌うのは構わないが、またこの間のように睨まれたり怖がられたりはしたくない。
するとアヴェイラは小声で言った。
「なんだかんだ言って、あいつらも気になってんだよあんたのことが。ほら、明日にはアピアチェーレの港に着く予定だろ? その前に一度ってわけさ」