My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
そう、このまま順調に行けば明日この船を下りることになる。
その前に、アヴェイラ曰く「グリスノートの船を迎え撃つ」ことになるのだが。
「な、頼むよ」
「歌うのは、いいんだけど……」
「本当かい!?」
急な大声にびくっと驚いて、それに答える前にアヴェイラは後ろ手に扉を開け放っていた。
「良かったなお前たち! 歌ってくれるってさ!」
「!?」
扉の向こうに海賊たちが押し合うように集まっていてびっくりする。
皆やっぱり強面の男たちばかりで思わず一歩引いてしまったが、その中にフィルくんの姿を見つけた。
「あ、俺もカノンさんの歌、もう一度ちゃんと聴いてみたいと思って」
目が合うとフィルくんはそう照れくさそうに笑った。
と、その頭にバンっと大きな手が乗る。