My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
「フィル坊がな、あんたは悪い奴じゃねぇってしつこくてよ。最初あんなにビビってたくせになぁ!」
そう豪快に笑ったのは、フィルくんを看てくれていたあの大柄のおじさんだった。
「うちのお頭もあんたに惚れこんでるようだしよ。俺たちにも聴かせてくれよ、その歌ってやつをよ!」
「あ、お前たち中には入るんじゃないよ」
「へい、お頭!」
「わかってまさァ!」
興味津々、集まる視線に緊張を覚える。
でも、フィルくんのように本当に歌を聴いてみたいと思ってくれているのだとしたら素直に嬉しい。
歌は恐ろしいものではないと知ってもらえるのなら――。
「カノン、頼めるかい?」
もう一度アヴェイラに訊かれて、私は意を決して頷いた。
「じゃあ、一曲歌わせてもらいます」