My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
――何を歌おうか少し考えて、私は「埴生の宿」を歌うことにした。
愛する故郷、我が家に思いをはせる歌。
ドナのおばあちゃんが友達になったという銀のセイレーンが歌い、そしてエルネストさんの作曲ノートにも書かれていたその歌を、私は久しぶりに歌った。
髪が銀に輝きはじめ海賊たちがざわつくのがわかったが私は歌に集中した。
前にフェルクでこの歌を歌った時、特に何も起こらなかった。だから大丈夫だという確信があった。
あのときは大好きなおばあちゃんのことを思い出して涙が溢れてきてしまって、エルネストさんが褒めてくれて……。
(あ。じゃあ、あのときエルネストさんはこの歌を知っていたんだ)