My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
この歌を私と同じようにこの世界で歌った銀のセイレーン。彼女はどんな思いでこの歌を歌ったのだろう。彼女とエルネストさんは、一体どんな関係だったのだろう。
その銀のセイレーンは無事元の世界に……愛する我が家に帰れたのだろうか。
私は、帰れるのだろうか……?
「華音?」
「え?」
気が付くと、視界に映る風景が一変していた。
そこは誰かの部屋だった。アヴェイラの部屋ではない。――ありえない。
だって、ベッドもテーブルもライトも部屋にあるもの全てよく見慣れた近代的なもので、明らかにこの世界の……レヴールのものではなかった。
テレビやパソコンもある。更にはピアノまであって――。
「華音!?」
ガタンっと音を立ててピアノの椅子に座っていた人物が立ち上がった。
「響ちゃん……?」
少し大人びた気がする幼馴染の名を、私は呼んだ。
――これは、数日前に見たあの夢の続きだろうか……?