My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
「華音!」
彼がもう一度私の名を呼びながら、こちらに手を伸ばした。
その手を取ろうとして、でも身体が動かなくて――
「うおおぉぉーー!!」
――!?
そんな大声と大きな拍手で私は我に返った。
そこは先ほどと同じアヴェイラの部屋。ピアノも彼の姿もどこにもない。
(今、私……)
「最高だったぜ、嬢ちゃん!」
その声に改めて海賊たちを見てぎょっとする。皆、顔を真っ赤にして涙を流していた。
アヴェイラがこちらに駆け寄ってきて私の手を取った。彼女の目も涙でいっぱいだった。
「やっぱりあんたの歌は素晴らしいよ、カノン!」
「あ、ありがとう……」
なんだかまだ夢の中にいるようなふわふわとした気分で、私はお礼を言う。