My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
「い、いえ」
一斉に頭を下げられて逆に恐縮してしまう。
続けてそんな彼らにアヴェイラは言い放った。
「よしっ! それじゃあ各自持ち場に戻んな! あたしはこれから歌の練習すんだよ!」
「へいっ!」
「頑張ってください、お頭ァ!」
言われた通りバラバラと散っていく海賊たち。――と、
「流石です、カノンさん!」
最後までその場に残っていたフィルくんがごしごしと涙を拭い、目を輝かせて言った。
「ラグさんが、カノンさんに惚れた気持ちよーくわかりました!」
「へ?」
「とってもお似合いです! どうかお幸せに……!!」
ぺこり頭を下げてそのまま行ってしまったフィルくんを私は呆然と見送った。