My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
「なんでって、え? だってラグさんとカノンさんってお付き合いされてるんですよね?」
さも当然のように言われて私はやっぱりと頭を抱えたくなった。トレーを持っていなかったらきっと間違いなくそうしていただろう。
「違うよ!?」
「え? そうなんですか? 俺、てっきりそうなのかと」
目を丸くしたフィルくんに、私は昨日と全く同じセリフを口にする。
「私とラグはただの旅の仲間で」
「でもラグさん、俺がカノンさんのことを「姐さん」って言ったら『俺の前で二度とその呼び方をするな』ってすごく怒って」
今度目を丸くしたのは私の方だった。
「それに……そう、丁度嵐の前の夜、ラグさんと船長が話してるのを俺聞いてしまって」
「!」
嵐の前の夜。――グリスノートから告白されて、ラグの言葉にショックを受けたあの夜だ。