My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
「私とフィルくんは……」
「そう、それなんだけどね。厄介なのはラグ・エヴァンスなんだよ」
腕を組みアヴェイラは今度は難しそうな顔をした。
「え?」
「カノンを攫ったあたしを敵視してると思うんだよね、絶対。この船を見つけた途端、攻撃してきてもおかしくない」
「そ、そっか」
以前ルバートで私が迷子になってしまったときヴィルトさんの頭を狙ってナイフが飛んできたことを思い出してしまった。
まさか私がこんなにアヴェイラと仲良くなっているなんて思わないだろうし、ラグもセリーンもきっとすごく心配してくれているだろう。そう考えたら胸がチクチクと痛んだ。
「でもあたしはあいつの前で歌いたい。その間誰にも邪魔はされたくない」
「うん。私も聞いてもらいたい。アヴェイラの歌」
「だからね、カノン。人質になっちゃくれないかい?」
「へ?」
アヴェイラの口から飛び出したまさかの提案に思わず頭が傾き、ブゥがころんと転げてきた。