My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
14.人質
「お頭ぁ! 見えました、空色の旗。ブルーの船です!」
うっすらと靄がかる早朝の海を眺めていると、見張り台からそんな声が降ってきてドキリとする。
「来たね、グリスノート」
船首に仁王立ちになったアヴェイラが計算通りだと言うふうににやりと笑い、こちらを振り返った。
「頼んだよ、カノン」
私は頷いて、手のひらに乗るブゥを見下ろした。
「ブゥ、眠いのにごめんね。お願い!」
「ぶぅ!」
ブゥはひとつ力強く鳴くと小さな翼をばたつかせ私の手から飛び立った。
そのくるんと丸まった尻尾の付け根には手紙が括り付けられている。
アヴェイラからグリスノートに話があること。それを聞けば私とフィルくんを解放すると簡潔に書かれている、らしい。私には読めなかったがアヴェイラがそう書いたと言っていた。