My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
(でも、こんなことになるなんて……)
罪悪感で小さく手が震えた。
「じき目を覚ますだろ」
「本当だろうな」
睨むように見上げられてラグが頷く。
「力の使い方を間違えた術士がよくこうなる」
それを聞いてグリスノートはもう一度腕の中のアヴェイラを見つめた。
「なんだって歌なんて……」
「お頭はなぁ! グリスノート、お前のためにずっと歌を練習してたんだよ!」
海賊のひとりが堪りかねたように声を上げた。
グリスノートがゆっくりとそちらに視線を向ける。
「俺のため?」