My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
小さく息を吐いていると、ラグもフィルくんと一緒に席を立つのが見えて、私はそちらに足を向けた。
「ラグ!」
彼は足を止め、不機嫌そうな顔で私の方を見た。
「気を付けてね。例の海賊そろそろ出てくるって言ってたし」
「……あぁ」
一言そう答えるとその視線はすぐに離れてしまった。
慣れない集団生活で疲れているのだろうか、最近彼の態度はいつもこんな感じで酷く素っ気ない。
「ラグさん行きましょう!」
先に食堂を出ていたフィルくんに急かされ、そのまま行ってしまうラグに「いってらっしゃい」と声を掛けたが、返事はなかった。