My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】

 小さく息を吐いていると、ラグもフィルくんと一緒に席を立つのが見えて、私はそちらに足を向けた。

「ラグ!」

 彼は足を止め、不機嫌そうな顔で私の方を見た。

「気を付けてね。例の海賊そろそろ出てくるって言ってたし」
「……あぁ」

 一言そう答えるとその視線はすぐに離れてしまった。
 慣れない集団生活で疲れているのだろうか、最近彼の態度はいつもこんな感じで酷く素っ気ない。

「ラグさん行きましょう!」

 先に食堂を出ていたフィルくんに急かされ、そのまま行ってしまうラグに「いってらっしゃい」と声を掛けたが、返事はなかった。

< 15 / 440 >

この作品をシェア

pagetop