My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】

「術士だったグランマに聞いたことがあるよ。そういう厄介で最悪な呪いがあるって」
「だまれ」

 ラグが低く呻く。
 だがアヴェイラはそのまま話し続けた。

「それ、“見たくない過去の自分に戻っちまう呪い”、だね」
「黙れ!」

 彼女の言葉に被るようにラグは怒鳴った。
 他の皆には聞こえなかったかもしれない。でも、すぐ隣にいた私にはしっかりと聞こえていた。

(見たくない過去の自分……?)

 ラグの今の姿を見つめながら、私はその言葉を胸のうちで繰り返す。
 そしてアヴェイラは同情するような声音で続けた。

「丁度その年頃だろう? あんたがレーネを」
「黙れと言っているんだ!!」

 その絶叫が合図だったかのように、少年の身体が急成長する。
 元の青年の姿に戻ったラグはアヴェイラを酷い形相で睨んでいた。
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