My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
するとアヴェイラは呆れたふうに息を吐いて私の方を見た。
「本当に無愛想な男だねぇ。聞いていた通りだ。ほら、返すよ。奪っちまって悪かったね」
「え、わっ」
いきなり肩を強く押されて、私はつんのめるようにしてラグの方へと駆け寄った。
間近に目が合って、その青い瞳に私が映っているのが見えた。
「カノン、歌教えてくれてありがとね」
はっとして振り向くとアヴェイラが微笑んでいた。
「お蔭であいつのアホ面が拝めてスッキリしたよ」
「誰がアホ面だ!?」
向こうの船から怒声が飛んできて、アヴェイラがふんっと鼻で笑う。
「アヴェイラ……」
本当にこれで良かったのと言いかけて。