My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
「そのかわり、」
ぎろりと睨み上げられる。
「もう二度と離れるな。このロープでもう一度縛って連れてったっていいんだからな」
「!?」
ひぇっと声が出そうになる。
一瞬、ラグにロープで縛られ連行される自分の姿が浮かんでしまって。
「ご、ごめんなさい! もう離れません!」
私がもう一度必死に謝ると彼は短く息を吐いてそのロープを道端に投げ捨てた。
「行くぞ。ここまで来ちまえば、レーネまであと3日ってとこだ」
そう言ってさっさと背を向けてしまったラグに私は慌てて声を掛ける。
「皆を待たないの?」
「あ?」
「だって、セリーンは? グリスノートも怒ってるだろうし。それにブゥは」
「なんだお前、やっぱりあの野郎に未練があるのか?」
そう言って振り向いた彼が酷く冷たい目をしていて、焦って首を振る。
「未練とかそういうのじゃなくて、だって銀のセイレーンってバレちゃったしむしろ怖いくらいだけど、ただ一緒に行くって話をしてたから」
「お前が銀のセイレーンでも気持ちは変わらねぇとかほざいてたけどな、あの野郎」
「え……」
「それと、ブゥならここにいる」
彼は胸ポケットに手を当てると、再び前に向き直り歩き始めてしまった