My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
そんな彼を追いかける。
「そ、そっか。ブゥも疲れちゃってるよね。起きたらお礼言わなきゃ。……でも、セリーンは?」
「あいつの目的を忘れたのか」
不機嫌極まりない声。
セリーンの目的。それはラグの解呪を阻止することだ。わかっている。
「わかってるけど……」
ずっと、この世界を離れるそのときまで彼女は傍にいるものだと思っていたから。
このままレーネに向かいセイレーンの秘境が見つかって本当にエルネストさんに会うことが出来たら、もう二度と会えないのに。
(突然過ぎて何も言えなかった。お礼の言葉も、お別れの言葉も)
「なら、追いつかれないうちに急ぐぞ」
「う、うん」
本当は「待っていようよ」と足を止めたかった。けれど、呪いの真実を知ってしまった今、彼が少しでも早く解呪したいという気持ちがわかるから、私は彼の背中を追いかけた。
誰にだって思い出したくない消してしまいたい過去はあるけれど、彼の場合、その過去があまりに凄惨なものだと知っているから。
(なんて、残酷な呪いだろう)
そんな呪いをラグに掛けたエルネストさんに、私は初めて怒りを感じていた。
「そ、そっか。ブゥも疲れちゃってるよね。起きたらお礼言わなきゃ。……でも、セリーンは?」
「あいつの目的を忘れたのか」
不機嫌極まりない声。
セリーンの目的。それはラグの解呪を阻止することだ。わかっている。
「わかってるけど……」
ずっと、この世界を離れるそのときまで彼女は傍にいるものだと思っていたから。
このままレーネに向かいセイレーンの秘境が見つかって本当にエルネストさんに会うことが出来たら、もう二度と会えないのに。
(突然過ぎて何も言えなかった。お礼の言葉も、お別れの言葉も)
「なら、追いつかれないうちに急ぐぞ」
「う、うん」
本当は「待っていようよ」と足を止めたかった。けれど、呪いの真実を知ってしまった今、彼が少しでも早く解呪したいという気持ちがわかるから、私は彼の背中を追いかけた。
誰にだって思い出したくない消してしまいたい過去はあるけれど、彼の場合、その過去があまりに凄惨なものだと知っているから。
(なんて、残酷な呪いだろう)
そんな呪いをラグに掛けたエルネストさんに、私は初めて怒りを感じていた。