My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
船縁に手をつき黒く波立つ海を見渡すとその銀の光はすぐに見つかった。そしてその光から響いてくる“歌”。
なんて綺麗な声だろう。
「これが、歌……?」
こんな声が人間の喉から出るなんて。
兄貴がずっと執着している“歌”。それの何がそんなに魅力なのか、これまで全然わからなかったけれど。
「船長の気持ちが、今なら少しわかる気がするっス」
隣に立つコードがそう呟いて、私も頷いていた。
銀の光は海面近くをあちこち飛び回り、フィルを捜しているようだった。
ここから見守ることしかできないのが酷くもどかしい。
(カノン、頑張って……!)
でもそのとき、銀の光が急に鈍ったかと思うとそのまま海に落ちてしまった。