My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
アヴェイラの船はどんどん遠退いていってしまう。
「てめぇら追うぞ!」
「無理っスよ船長、アヴェイラの船に追いつけた試しがないじゃないっスか」
コードが困り果てたように言う。
「それに、この海域で下手に動けばこっちが危ないって船長だってわかってるはずっスよ。それでなくとも嵐のせいで予定航路から大分外れちまったんスから」
「ならどうすんだよ! カノンとフィルが攫われちまったんだぞ!」
そのときダンっと背後で音がして驚いて振り向けば、甲板に戻ってきたラグさんがそのまま船内へと走っていってしまった。
「ブゥを飛ばすつもりらしい」
続いて甲板に降りたセリーンさんが言う。
「ブゥを?」