My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
「だって、ずっと一緒に旅してるんでしょ?」
「――ぜっ」
リディの言いたいことがわかって、危うく手にした食器を落としてしまうところだった。
「全然! 何もないよ!?」
「本当に?」
上目遣いで首を傾げられ私は強く頷く。
「本当に! 目的が一緒ってだけで」
「でも、ラグさんカノンのこといつも見てるし」
「え」
思わず顔が固まってしまった。
――いつも?
「特に兄貴とカノンが話してるとき、いつも凄い顔で睨んでるわよ」
「そ、それは……多分、」
私が余計なことを言わないように見張っているんだと思う……そう言いたくても言えずしどろもどろになっていると、セリーンが口を開いた。
「リディはあの男のことが気になっているのか?」
「え!?」
すると今度慌てたのはリディの方だった。
ボンっと爆発したようにその顔が赤く染まるのを見て、私は呆気に取られる。