My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
――その夜、私は思い切ってセリーンさんに問いかけた。
「セリーンさん、あのふたりってやっぱり」
するとセリーンさんは困ったように微笑んだ。
「カノンは異世界に帰るために旅をしているんだ」
「え?」
「銀のセイレーン。カノンに会うまでただの伝説だと思っていたが、カノンは本当にこのレヴールとは違う世界から来たのだそうだ」
カノンから帰らないといけない場所があるとは聞いていたけれど。
私が目を見開いているとセリーンさんは苦笑した。
「だからあのふたりは、ずっとあの調子でな」
(でも、ラグさんは……)
そう言いかけて、声にならなかった。
急に喉の奥の方がつかえたように苦しくなって、私はそんな自分を誤魔化すように笑顔を作った。
「カノンとフィルは絶対に無事。港に着けばきっと会えるわ!」
「そうだな。今はそう信じよう」
セリーンさんも笑顔で答えてくれた。
そうして、私たちは眠りについた。
どうかカノンたちもちゃんと休めていますようにと願いながら。