My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
(セリーンがいたらなぁ)
そう考えたのはこれで何度目だろう。彼女がこの場にいればラグに訊きにくいこともこっそりと訊くことが出来たのに。
(それに……)
ラグの背中をじっと見つめる。
――想い合っている。
アヴェイラのあの言葉がずっと頭にちらついて、気まずいのはそのせいもあった。
(私が、ラグを好き……?)
確かに彼はいつも無愛想だけど強くて頼りになるし、これまで何度も助けてもらっていて、口は悪いけれどなんだかんだと優しいのも知っている。でも……。
そこまで考えて私はぶんぶんと頭を振る。
(だから違うってば! 私は帰るんだから、好きじゃないし好きになったりもしない! ……それに、やっぱりラグが私を、なんてありえないよ)
フィルくんから聞いた話も、こうして一緒にいるとやっぱり信じられなくて。
(カノンにこれ以上近づくな、なんてほんとに言ったのかな?)