My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
案の定不機嫌そうな声が返って来たが、足を止めこっちを向いてくれたのをいいことに私はそのまま早口で続けた。
「ブルーの皆に報告に行かないのかなって。ほら、フィルくんとか、ラグのこと大好きだったしあのままお別れになっちゃって寂しがってるだろうなって思って」
するとその眉間に思いっきり皴が寄ってしまった。
「別に、報告なんてする必要ないだろ」
「でも船に乗っている間皆にはすごくお世話になったし、お別れの挨拶くらいは」
「必要ない」
そう冷たく言ってラグはまた前に向き直り歩き出してしまった。
「そんなにあの男に会いたいのなら、お前だけで行けばいいだろ」
「へ?」
一瞬何を言われているのかわからなかった。
でも「あの男」がグリスノートのことだと気づいてびっくりする。
「だ、誰もそんなこと言ってないじゃん! 私はただ」
「お前はどうするんだ」
「え?」