My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
そうだ、間違いない。一度目はルバートへ向かう途中の街道でラグに吹き飛ばされ、二度目はタチェット村でラグの名を騙りアルさんに吹き飛ばされた野盗たちだ。
まさかこんなところでまた再会するなんて……!
「誰が偽者だ! 俺様はなぁ」
「か、頭! こいつ、前に俺たちを魔導術でぶっ飛ばした奴ですよ!」
「あぁ?」
子分たちの方が先に気付いたようだ。
「ほら、ランフォルセにいたときに!」
「ランフォルセ? ……あー! あんときの! てめえ、よくも俺たちを吹っ飛ばしてくれたな!」
「……」
ラグは何も言い返さない。ただじっと奴らを睨み据えている。
子分たちはそんなラグの無言の圧力にじりじりと後退っていくが、頭の男は違った。
「そうか、てめぇも魔導術士か。よし、なら俺様ともう一度勝負だ!!」
(はぁ!?)
思わずそんな声が出そうになる。
「あのときは俺様も油断してたからなぁ。今度は負けねぇ。てめぇよりも強い風を呼んでやるぜぇ!」
「頭、やめときやしょうよ」
「そうっスよ!」
「うるせぇ! 俺様はあのラグ・エヴァンスだぞ! 負けるはずがねぇ!!」
そこでまたしてもラグの名前を出した彼にかちんと来る。