My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
「き、気になってるっていうか、……か、かっこいいなとは思ってるけど……でも、別に好きとかってわけじゃ……!」
その顔では全く説得力がない。
私たち二人に見つめられて耐えられなくなったのかリディはわーっと顔を覆ってしまった。
「ごめんなさい、この話はもう終わり! 早く食器片づけて朝ご飯にしなきゃ!」
そうリディはひとりまくし立てながら食器をガチャガチャと重ねはじめた。
(そっかぁ。リディ、ラグのこと好きなんだ)
まだ耳まで真っ赤になっている彼女を見て、私は可愛いなぁと思った。
船内が騒がしくなったのはそれから数時間後、ギャレーで夕飯の下準備をしていたときだった。
複数の足音や大きな声が響いてきて私たちは顔を見合わせた。
「何かあったのかな」
「もしかして」
リディが椅子から立ち上がったそのとき、丁度コードさんが顔を覗かせた。今の今まで寝ていたのだろう酷い寝癖がついた彼は言った。
「アヴェイラの船が出たそうッス」
「え!」