My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
顔が一気に真っ赤になるのがわかった。
同室というだけで気まずいのに、同じベッドで寝るなんて無理無理無理!
胸の内でぶんぶん頭を振っていると、はぁ、と大きな溜息が聞こえてびくっと肩が震えてしまった。
「別の部屋だ」
「そ、そうだね!」
パタンとその部屋のドアを閉めたラグに私は思いっきり引きつった笑顔を返した。
――なのに。
「二人部屋はあそこしか空いてないんですよ。今日はお客が多くてねぇ」
(嘘でしょ?)
宿の主人の言葉に愕然とする。
「……」
ラグは無言だ。ここからその表情は見えないけれど、きっと困っているのだろう。
(そりゃそうだよね……)
ラグだって、好きでもない子と同じベッドなんて嫌に決まっている。でも……。
主人もそんなラグを前に困った顔で続ける。
「宿はうちしかないですしねぇ。どうされますか?」