My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】

「ブゥ、今朝は手紙届けてくれて本当にありがとう。大変だったでしょ?」
「ぶぶぅ! ぶぅぶぅ!」

 宙返りをしながら大丈夫だよと言ってくれているような気がして、私はもう一度ありがとうと笑顔でお礼を言った。
 ラグが棚の上に荷物を置いて、そのまま窓から外を見つめた。
 もう外は真っ暗で部屋の隅に置かれた蝋燭の灯りがほのかに窓に映っていた。
 沈黙が嫌で、私は彼に明るく話しかける。

「この3人でいると、出会ったばかりの頃を思い出すね」

 ラグがこちらに視線を向けた。

「なんだかずっと昔のことみたい。この世界に来てから本当に色んなとこに行ったもんね。ランフォルセからフェルクに渡って、パケム島に、クレドヴァロールでしょ。凄いよね! 私、元いた世界ではこんなに色んな国を旅したことなんてなかったんだよ」

 と、ラグがそこで小さく笑った気がした。

「すでに帰る気満々だな」
「え?」
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