My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
私とリディの声が重なる。
今朝そろそろだと言われたが、まさかこんなにも早くその時が来るとは思わなかった。
「私も行く!」
リディはすぐさまコードさんについて行き、私はセリーンを見る。彼女はすでに愛剣を手にしていた。
「私たちも行くか」
「うん!」
海賊が出たということはラグも呼ばれているはずだ。
私たちはギャレーを出て急ぎリディたちを追いかけた。
甲板へ出ると強い日差しに目がくらみ、瞬きをしながらなんとか前方を見る。
船首にグレイスを肩に乗せ仁王立ちになったグリスノートの背中があった。
コードさんがその傍らに並び、リディもその後ろにつく。――ラグはまだ来ていないようだ。
目が慣れて漸くこちらに向かってくる船が確認出来た。
この船よりやや小ぶりで、風にはためくその海賊旗はピンク。海の深いブルーにその色はよく映えたが。
(なんか、可愛い……?)
「あれが例の船か?」
セリーンの声も少々拍子抜けしたように聞こえた。