My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
「起きろ」
「!」
ぱっと目をあける。
声のした方を見ればドアの前で朝から不機嫌そうなラグがこちらを睨むように見ていた。
「お、おはよう」
寝起きの掠れた声でとりあえず朝の挨拶をする。
「ベッド、ありがとう」
改めてお礼を言うと彼はふいと視線を外してドアを開けた。
その髪の結び目でブゥが揺れているのが見えて。
「出たとこで待ってる。早く支度しろ」
そう言うと彼は部屋を出て行ってしまった。
(相変わらずだなぁ)
はぁ、と小さく息を吐く。
……昨夜、ちょっとだけ彼の本音が聞けたような気がして嬉しかったのだけれど、やっぱり私の勘違いだろうか。
でもお蔭で久しぶりにぐっすりと眠れた気がする。
ぐうっと伸びをして朝日の差す窓を見ると昨日は見えなかった向かいの建物が見えた。今日も良い天気みたいだ。