My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
昨夜も入った食堂で黙々と料理を食べているラグを私はちらちらと見つめていた。
やっぱり顔色が悪い気がして、昨夜椅子ではよく眠れなかったのではないかと罪悪感を覚える。
「なんだよ」
「えっ」
じろりと睨まれてどきりとする。
でもやっぱりクマも酷くて、いつもよりも更にその目つきが鋭く感じられた。
「や、やっぱり顔色悪く見えて、大丈夫かなって」
「別にいつもと変わらない」
「本当に? どこか具合悪かったら」
「どこも悪くない。それより早く食っちまえよ。急ぐって言ってるだろ」
「う、うん」
結局、それ以上は訊けなくなってしまった。
ラグは私と違って体力がある。寝不足くらい大したことないのかもしれない。
彼が大丈夫と言うならきっと大丈夫なのだろうと、私は残っていた目の前の料理をお腹に入れていった。