My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
歩いて、ひたすら歩いて。
次の街に辿り着けたのは本当にとっぷりと日が暮れてからだった。
途中二度ほど休憩はとったものの、流石に足が棒のようだ。
でもその小さな街――というより小さな村の宿ではちゃんとベッドが二つある部屋をとることが出来てほっとした。
昨日あんなことがあったせいか、同室ということにはそれほど抵抗がなくなっている自分に気付いて苦笑する。
一階の食堂で夕食をとってから部屋に戻りベッドにダイブすると、あっという間に睡魔がやってきた。
宿のすぐ横を流れる川のせせらぎがとても心地いい。
寝返りをうってラグの方を向くと彼はすでに目を閉じていて、その枕元ではブゥが相棒をじっと見つめていた。
「いよいよ、明日だね」
そう小さく声を掛けてみる。
「……あぁ」
すると目はつむったまま小さく返事が返ってきて嬉しくなる。
「エルネストさん、いるかな」
「さぁな」
「呪い、解けるといいね」
「……もう寝ろ」
「うん。……おやすみなさい」
そうして、私も目を閉じた。