My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
(響ちゃん、なの?)
ごぽりと今度は大きな泡が立った。
「聞こえる……。華音、今どこにいるんだ!?」
(私は今、レヴールに……違う世界にいるの)
ごぽごぽ、ごぽごぽ。
私の声に合わせるように泡は生まれ、それはどんどん増えて全身を包んでいく。
「違う……い? ……って、……!?」
無数の泡に邪魔されて、彼の声も次第に途切れ途切れになっていく。
それでも私は泡の中で必死に呼びかける。
(なに? 聞こえないよ、響ちゃん)
ごぼごぼごぼごぼ……。
(響ちゃん! 響ちゃん……っ!)
ごぼごぼごぼごぼごぼごぼ……。
ついには私自身も泡になってしまったのだろうか、押し上げられるようにどんどん海面へと上昇していき――。