My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
窓のカーテン裾にぶら下がっていたブゥを自分の髪にくっつけて彼はドアへと向かった。
「そこで待ってるからな」
「うん」
頷いて、私も支度しなければと立ち上がる。
「……ありがとな」
「え?」
私の声と、ドアの閉まる音がほぼ同時に響いて――。
ぽかんとそちらを見つめながら、徐々に顔が緩んでいくのを止められなかった。
彼からの「ありがとう」は、なんでこんなにも嬉しくて胸がいっぱいになるのだろう。
(本当に、良かった!)
きっと顔を赤くして待っているだろう彼を想像して、私は浮かれた気分で支度をはじめた。
――でも、そんな浮かれた気分も階下の食堂で一気に落ち込むことになった。