My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
言われてみると確かに他に連なる山々とは違い正面の山は削られたようにその山肌が見えてしまっていた。
――鉱山の街レーネ。
あの小さなラグが戦争中に足を踏み入れた街……。
その姿を想像してチクリと胸が痛んだ。
「ありがとう、教えてくれて」
今は大きなその背中にお礼を言う。
「そろそろ着く。一応言っておくが、すぐに金髪野郎の居場所が見つかりゃいいが、見つからない場合は連日野宿になると思っておけよ」
「そ、そうだよね」
彼の気持ちを考えたら当然だしわかってはいたけれど、連日野宿という言葉を聞いてつい顔が引きつってしまった。レーネで少しでも何か良い情報が得られることを祈るしかない。
(でも、この近くにセイレーンの秘境があるかもしれないんだ)
そしてそこに、エルネストさんがいる……かもしれないのだ。
「セイレーンの秘境かぁ。どんなところなんだろうね」
「さぁな。歌でも聞こえてくりゃわかりやすいんだけどな」
「はは、確かに」
と、そこで急にラグが足を止めた。