My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
いやいやと頭を振る。
きっと、多分、彼にはバレていないはずだ。
なんとなくだけれど、彼は私の気持ちを知ったら距離をとるような気がした。
離れるな、なんて絶対に言わないような気がした。
でも、よりによって今、このタイミングで気づいてしまうなんて。
(もうすぐお別れかもしれないのに……)
喉の奥の方がきゅっと苦しくなる。
……もしかしたら、これまで無意識のうちに好きになってしまわないよう自分の心を守っていたのかもしれない。
だって私はこの世界の人間ではない。帰らなくてはならない。
気づいてしまったら。認めてしまったら。
この先自分が辛くなるのは目に見えているのだから。
でももう自覚してしまった。もう自分の気持ちに嘘はつけない。後戻りはできない。