My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
はぁはぁと息を切らして走ってきた女性は倒れたモンスターを見てからこちらに視線を向けた。大人っぽい綺麗な女性だ。
「この兄ちゃんがやってくれたんだ! 他の奴らは逃げて行ったぜ」
先ほどの男性がそう言うと彼女はラグの方を見た。
「そうだったの。ありがとう! 私はこの街で自警団の副長をしているマルテラよ」
そうして笑顔で手を差し出した彼女を、ラグが酷く驚いたように凝視していることに気付く。
(ラグ……?)
その口が微かに動く。
「マルテラ……きみ、生きていたのか」
「え?」
マルテラと呼ばれた女性はそんなラグの言葉に首を傾げて、でもそれから彼と同じように大きくその目を見開いた。
「まさか、貴方……」
見つめ合うふたりを見て、胸がざわついた。