My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
「若い男女二人がわざわざこのレーネまでやって来るなんて、それしかないだろうよ。なぁ、お二人さん! 永遠の愛を誓いに来たんだろう?」
(永遠の愛!?)
今度こそ危うく素っ頓狂な声を出してしまうところだった。
「最近は前ほど採れなくなっちまったからなぁ。どこも価格が高騰してるだろ? 少しでも安くってんで、あんたたちみたいに直接このレーネまでやって来るカップルは結構いるのさ」
誓いの指輪。永遠の愛。そして、このレーネの街は貴重な鉱物で栄えていたという話を思い出す。
(――も、もしかして、“カモフラージュ”ってそういうこと!?)
ということは今ここにいる人たちに私たちはカップルだと思われているわけで。
ラグは相変わらず何も答えるつもりはないようで、私は肯定も否定も出来ずにきっと引きつっているだろう愛想笑いを浮かべることしかできなかった。