My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】

「そこでだ。そんなお二人さんに、ちと頼みたいことがあるんだ」
「え?」

 急にその声音が真剣味を帯びて、彼は後ろにいた自警団の人たちの方を振り向いた。
 その中から一人の青年が前に進み出て頭を下げた。20代後半くらいの優しそうな風貌をした人だ。



「すまない。僕はこの自警団の団長をしているパシオと言う。君の腕を見込んで是非協力願いたいことがあるんだ」

 その視線はラグの方を向いていて、私も傍らに立つ彼を見上げる。

「森の調査に同行してもらえないだろうか」
「な……っ!?」

 私たちよりも先に声を上げたのはマルテラさんだった。

(森の調査?)

 パシオさんが深刻な顔で続ける。

「最近、先ほどのように森に棲むモンスターが頻繁に街に入ってくるようになってしまって困っているんだ。原因を調査するために僕たちも度々森へ出向いているのだがなかなか成果が得られなくてね。君が同行してくれたらとても有難いのだが」
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