My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
あんなことが頻繁に起こっているなんて。街の人たちはきっと毎日不安だろう。
元々私たちはセイレーンの秘境を探すために森の中を調べるつもりだった。――でも、ラグは引き受けるだろうか。
「報酬は勿論支払う。誓いの指輪が良ければそれでも」
「出発はいつだ」
「!?」
彼の言葉に驚いたのは私だけじゃなかった。マルテラさんも瞳を大きくしてラグの方を見つめていた。
「君が良ければ今すぐにでも。先ほど逃げたモンスターたちのことも気になる」
「わかった」
「本当かい! とても助かるよ」
パシオさんが相好を崩し、先ほどの男性や他の人たちも一斉に安堵の表情を見せた。
少し意外だったけれどラグなら先ほどのモンスターくらい術を使わなくても倒せるだろうし、森の調査ということならその間にセイレーンの秘境の手がかりも何か見つかるかもしれない。だから彼も引き受けたのだろう。
(指輪なんて興味ないだろうしなぁ)
ただ、マルテラさんの硬い表情が気になった。