My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
「君の名前は?」
「ダグだ」
一瞬ひやりとしたが、ラグはすぐに答えた。
それはクレドヴァロールのお城の中でほんの一時ラグの偽名として使っていた名前だ。ここでまたその名を聞くことになるとは思わなかった。
「ダグ、よろしく頼む。早速だが準備を――あ、それと彼女には申し訳ないがその間どこかで待機を」
パシオさんが言いながら私に視線を向けた。
「あ、私は」
「こいつも一緒に連れて行く」
私の言葉を遮ってラグが答えた。
「え? 彼女も戦えるのかい?」
パシオさんが意外そうな顔でもう一度私を見た。
「いや、だが問題ない」
「そうかい? なら彼女の装備も用意しよう。マルテラ、武器庫への案内を頼めるかい?」
「わかったわ。……こっちよ」
マルテラさんはそう言って立ち上がると詰所の奥の方へと足を向けた。