My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
剣や槍、斧など様々な武器や防具が並んだ部屋に入ってすぐ、マルテラさんが口を開いた。
「貴方たちの本当の目的は何?」
ぎくりとする。
こちらを振り向いた彼女の瞳は警戒の色を露わにしていた。先ほど女の子を手当てしていたときとはまるで別人のような表情に息を呑む。
「偽名まで使って、誓いの指輪が目的なんて嘘なんでしょう?」
「えっと、私たちは」
そう言いかけるが彼女は私の傍らに立つラグの方をじっと睨み据えていて。
「私はこの街を守るのが仕事なの。もし貴方がまたこの街に何かするつもりなら」
「すまなかった」
聞こえてきたその言葉に私は目を見開く。
ラグが、深く深く頭を下げていた。
「ずっと謝りたいと思っていた。謝っても許されることではないとわかっている。それでも……すまなかった」
その声は微かに震えていて、でも真剣そのもので、聞いたことのない彼の声に胸の奥がぎゅうと苦しくなった。