My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
しかしそんな彼を目の前にしても彼女の表情は変わらなかった。
「……答えに、なっていないわ」
ラグが頭を下げたまま続ける。
「ここへ来たのはストレッタとは全く関係のない個人的な目的のためだ。この街にはその情報を手に入れるために」
「個人的な目的って何?」
「それは……」
「私のためなんです!」
思わず、声が出ていた。
「私がずっと探しているものがあって、それに彼が付き合ってくれているんです!」
するとやっと彼女が私を見てくれた。
「あなたの?」
「はい!」
「……探しているものって?」
「あの、変に思われるかもしれないんですが……実は私、セイレーンの秘境を探しているんです!」
グリスノートのような人もいるのだ。ラグが本当のことを言うよりはいいと思った。それに嘘ではない。
案の定マルテラさんは怪訝そうに眉を寄せた。
「セイレーンの秘境?」