My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
23.武器
ラグが小さく息を吐いた。
かける言葉が見つからなくて口を開けて閉じてを繰り返していると、彼がそんな私を見て呆れたような顔をした。
「はじめから許されようとは思ってない。だから、お前がそんな顔すんな」
「ご、ごめん……」
咄嗟に顔を伏せる。私は今どれだけ酷い顔をしているのだろう。
(辛いのはラグの方なのに)
私は当時のことを何も知らない。ただセリーンやアルさんから話を聞いただけだ。
マルテラさんの悲しみも、ふたりの間に何があったのかもわからない。
本当に何も知らなくて、だからと言って訊くことも出来なくて……私に出来ることは本当に何もないのだと思い知らされて……それが辛かった。