My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
「……それでも」
ラグが呟くように続けた。
「つかえていたもんが、ほんの少し取れた気がする」
それを聞いて顔を上げる。彼は目を閉じていて、一度大きく深呼吸をした。
――ずっと謝りたいと思っていた。先ほどの彼の言葉。
もしかして、パシオさん達の頼みを引き受けたのは償いの気持ちがあったからだろうか。……だとしたら。
「お前の武器だったな。軽くて扱いやすいのがあればいいが」
そう言ってラグは先ほどマルテラさんが指さしていた棚の方へ足を向けた。
そんな彼の背中に私は声をかける。
「モンスターの原因わかるといいね。勿論、セイレーンの秘境のこともだけど」
すると彼は横目でこちらを見てあぁと頷き、早速手前にあった短剣を手に取った。
……ラグの心が、少しでも軽くなるのなら。
(私はせめて足手まといにならないようにしなくちゃ)
気を引き締めて、私は彼の傍へと駆け寄った。