My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】


「そういえばお前、武器を使ったことは」

 私は首を横に振る。

「全くない。包丁くらい」

 答えると彼は短く嘆息した。

「本当に平和なんだな、お前の住んでるとこは。これ持ってみろ」

 そうして短剣を一本手渡される。30センチほどのそれは見た目よりも手にずっしりときた。

「うん、今はすごく平和。昔は戦争してたけど……ちょっと重い、かな」
「……戦争は誰もが被害者になる、だっけか?」
「え?」
「そう言っていただろう、前に」

 持っていた短剣を取られてまた別の短剣を手渡される。長さはほぼ変わらず、でも先ほどよりも軽く感じるその短剣の柄をしっかりと握りしめて頷く。
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