My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
「うん。私のおばあちゃんがいつもそう言ってたの……戦争は誰をも被害者にして、誰も幸せにはしないんだって」
そうだ。確かフェルクで彼にそんな話をしたのだ。
(覚えていてくれたんだ)
おばあちゃんの言葉が彼にとって意味のあるものだったとしたら少し嬉しい。
「だから私は誰も悪くないって思ってるんだ」
その気持ちは今も変わっていない。
「そうか……。どうだ?」
「うん、こっちの方がいいかも。これがダガーっていうの?」
「あぁ。ちょっと振るってみろ」
言われて私はラグに背を向け何度か振るってみる。ちゃんと握っていないと落としてしまいそうだがなんとか私でも扱えそうだ。
「良さそうだな。だがよっぽどのことがない限りは使うなよ。見てて危なっかしい」
「う、うん」
その“よっぽどのこと”がないといいなと思いながら私は苦笑した。