My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 6【最終章】
「なんとか追いついたな」
そう微笑む彼女に私はたまらず飛びついていた。
「良かった……! もう会えないかと思ったぁ~!」
「私もだ」
情けない声を上げる私の頭をセリーンが優しく撫でてくれる。
久しぶりに聞く彼女の声とその温もりにほっとして、じわりと涙が溢れてくる。
セリーンに話したいことがたくさんある。
聞いて欲しいことがいっぱいある……!
「えっと、お知り合いですか?」
でもそんな声にハっと我に返る。
振り返るとパシオさんや他の人たちが戸惑うようにこちらを見ていて私は慌ててセリーンから離れた。
マルテラさんも怪訝そうな顔だ。